上皮(細胞)組織について(第37回―17)
【種類】 ----------------【代表的な部位】
1-単層扁平上皮-----------血管内皮、肺胞
2-重層扁平上皮-----------皮膚(表皮)、口腔、食道
3-円柱上皮----------消化管粘膜上皮(胃、小腸、大腸)
4-線毛(多列線毛)上皮------気管、鼻腔、卵管
5-移行上皮----------------膀胱、尿管、腎盂、腎杯
6-立方上皮----------------尿細管、甲状腺の濾胞上皮
試験問題としては
「小腸の粘膜上皮は円柱上皮に覆われている」
など上皮組織の種類とその部位の組み合わせで出題されることが多いようです。ですが、部位は一つの上皮で複数あるのでそれを一つずつ覚えるのは大変です。
そこで今回は、「部位」ではなく「役割」を覚えることをおすすめします。覚えるにはこれが最短だと思いますので紹介します。これは立方上皮をのぞき、暗記ではなく理屈で覚えられると思いますので、まずやってみましょう。では1から、
1-単層扁平上皮の役割は「交換」
酸素や二酸化炭素を交換するのは肺胞。栄養分を交換するのは血管内皮です。
2-重層扁平上皮の役割は「保護」
・外からの刺激に耐えるには単層ではなく何層にも扁平の細胞が重なっている必要があります。皮膚(表皮)や口腔・食道などがその代表です。
3-円柱上皮の役割は「吸収」
・胃や小腸大腸など消化管の粘膜上皮が代表です。物質の吸収にはある程度体積が必要だから、他の上皮組織よりも体積があるんですね。円柱上皮は他の組織にはない微絨毛があるのもその特徴です。吸収面積を大きくするというやつですね。
4-線毛上皮の役割は「運搬」
・気管、鼻腔、卵管が代表です。正確にいうと線毛上皮には二種類あるんですが、試験では線毛上皮で出ていますのでこのくくりで説明します。運搬とは気管や鼻腔では異物を外に出すため、卵管では卵子を運ぶために線毛が存在します。
5-移行上皮の役割は「貯留」
・主に尿管や腎盂、腎杯、膀胱などです。尿がたまったり排泄されるとそれに伴い細胞の層が厚くなったり薄くなったりと、厚さが移行するからと覚えましょう。
6-立方上皮の役割は「その他」
・代表は尿細管や甲状腺の濾胞上皮ですが、残念ながらこれだけは共通の役割を見つけられませんでした。単層で立方の形だからこう呼ばれています。甲状腺の「甲」、尿細管の「細」が漢字の見た目が立方っぽいので立方上皮だな、とでも覚えて下さい。ちなみに移行上皮の「尿管」と尿細管は別ものです。尿管は尿が出来た後、尿細管は尿が出来る前の部分です。なので別ものと考えて下さい。
以上から、先ほどの表に補足すると、
【種類】 --------【代表的な部位】-------【働き・役割】
1-単層扁平上皮---------血管内皮、肺胞------------交換
2-重層扁平上皮-----皮膚(表皮)、口腔、食道-----保護
3-円柱上皮---消化管粘膜上皮(胃、小腸、大腸)--吸収
4-線毛(多列線毛)上皮----気管、鼻腔、卵管------運搬
5-移行上皮-------膀胱、尿管、腎盂、腎杯--------貯留
6-立方上皮------尿細管、甲状腺の濾胞上皮----その他
となります。また、扁平上皮には単層と重層の二種類がありますが時には、ただ「扁平上皮」と出題されたこともありますので「あ~両方ひっくるめてるんだな」と思って下さい。
試験には覚えにくい所や間違いやすい所を出題してきますので、立方上皮の尿細管と移行上皮の尿管なんかは問題作成者にとっては出しやすい所かもしれません。さらに記憶を定着させるにはやはり、写真や図などを加えることをお勧めします。自分の目で見て、書いてみてが一番大事ですよ。
ここまで説明しましたが、あくまでも覚え方の参考ですのでこれですべてを説明できるわけではありません。この覚え方では説明できない部分もありますので、すべてこれにあてはまるとは思わないでください。
出題科目は「人体」の一番最初の問題になることが多いので、いきなりつまずかないように頑張って覚えましょう!
最後に、この分野を記事にするのに参考にさせていただいたサイトを紹介します。
山口県立大学長坂祐二先生のブログ「管理栄養士国家試験徹底解説」です。情報量が豊富でとても勉強になるサイトですので皆さんも是非ごらんになってください。
引き続き皆さんからの質問や、感想、ゴロの作成依頼を募集しています。依頼には出来うる限り対応していますので気軽にコメント、メールをしてみてください。メールは☆を@にして下さい。inufukuken☆gmail.com