アミノ基転移の覚え方
そもそもアミノ基転移とはアミノ酸からアミノ基を外して、他のケト酸にくっつき、また別のアミノ酸に変身することですよね。なぜそんなことをしなくてはいけないかと言うと、アミノ基をアンモニアに変換してさらに尿素回路(オルニチン回路)で尿素へ変換出来るアミノ酸は、グルタミン酸(一部のアスパラギン酸も)だけだからです。グルタミン酸がもつアミノ基は、肝臓の尿素回路にアンモニアNH3(正確にはグルタミン)として運ばれ、尿素となって体外へ排泄されます。
アミノ基転移を覚えるにはまずこの仕組みを覚えましょう。その上で、下の文と図を見ると理解できるかもしれません。
イメージするのは「台風が発生した翌日に嵐が来る」感じです。よく、天気予報で「南太平洋で発生した台風が…」というのを耳にしませんか?大体その翌日に日本列島に台風が接近しますよね。なので、イメージしにくいかもしれませんが、「ヒルオキタケド。アラシアスクル」と何回も言って、口癖にしてしまいましょう!
これを覚えれば、○○がアミノ基をはずと○○になるというのがすぐに分かります。
ここからは、できればエネルギー図と尿素回路が一緒に書かれてある図を見ながら読むとより分りやすいです。ケト酸は、エネルギー代謝のクエン酸回路の中に出てきます。このケト酸にアミノ基をプラスしたのがアミノ酸です。
ピルビン酸にアミノ基を転移させるとアラニン。アラニンからアミノ基を外す(脱アミノ)とピルビン酸、のように上段3つのケト酸はまっすぐ下のアミノ酸に変換されてますね。同じく下段のアミノ酸からアミノ基を外すと上段にケト酸に変換します。この変換は上にも下にも変換できので可逆反応と言われてます。ちなみに、この変換にはビタミンB6の補酵素型(ピリドキサールリン酸)が必要だと言うのも大事です。
では、実際に試験に出た問題を見てみましょう。
①アミノ酸はアミノ基転移によりα-ケト酸となり, さらに代謝される.
②アミノ基転移反応は, ビタミンB12の補酵素型を必要とする.
③アミノ基転移反応により, グルタミン酸はα-ケトグルタル酸となる.
④アミノ基転移反応により, アスパラギン酸はピルビン酸となる.
⑤アミノ基転移反応により, アラニンはオキサロ酢酸となる.
①正 アミノ酸はアミノ基転移によりα-ケト酸となり, さらに代謝される.
②誤 アミノ基転移反応は, ビタミンB6の補酵素型であるピリドキサールリン酸を必要とする.
③正 アミノ基転移反応により, グルタミン酸はα-ケトグルタル酸となる.
④誤 アミノ基転移反応により, アスパラギン酸はオキサロ酢酸となる.
⑤誤 アミノ基転移反応により, アラニンはピルビン酸となる.
つまり「アミノ基転移によって、○○から○○へ変化する」というのがセオリー問題のようです。
まぁ、こんな感じで問題が出てくれれば言うことはないのですが…。