人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ゴロで覚える管理栄養士国家試験

浮腫の覚え方(血漿膠質浸透圧の覚え方)

いろなサイトや教科書を調べた結果、私の浮腫の理解としての解説を次に紹介します。一部に分かりにくかったり、専門的に言うとちょっと違う、といったところがありましたらご質問なり、ご指摘をお願いします。ではどうぞ!


浮腫を理解するにはまず「浸透圧とはなんぞや?」という所から理解しなければなりません。なぜなら、浮腫とは体の中で起きている浸透圧が関係しているからです。なので、まず浸透圧について少し説明します。

一番簡単な浸透圧の例をあげるとすれば、「ナメクジに塩」です。塩をナメクジにかけると塩がナメクジの水分を引っ張って細胞の外へ水を出してしまいます。だからちっちゃくなっちゃうんです。

もうひとつ例をあげると、「野菜を真水に漬けておくとシャキッとする」のは野菜の細胞内の濃度が真水より高いから、野菜の細胞内に水が引き込まれます。それで細胞内に水がたまり、みずみずしくなるんです。

このように、水を通す膜(細胞膜)をはさんで右と左に濃度の違う液体を置くと、水だけが薄いほうから濃いほうへ移動します。これは、膜をはさんで右と左で濃度を一定にしようと働くためで、人間の体も同じように出来ていて、

①血液
②細胞内液
③間質液(毛細血管と細胞の間にある液体)


の3つの間で浸透圧によって栄養分や水などが運ばれます。

浸透圧というのはその名の通り「浸透しようとする圧力」、つまりは「水を引っ張る力」と言い換えることができます。濃い液体は薄い液体から水を引っ張ることができます。この力を利用して私たち人間は、栄養分や水分を細胞に行きわたらせることが出来るんですね。




国家試験の浮腫問題で一番出るのは

「血漿膠質浸透圧が低下すると浮腫になる」

というやつです。言葉だけ聞くと難しく感じるかもしれませんが、何のことはありません。

こう考えて下さい。

「血液の濃度が低下すると浮腫になる」

ということです。血漿膠質浸透圧とは簡単に言うと血液の濃度のことだと考えるとわかり易いです。

濃度が下がる(濃度が薄くなる)といっても「何の?」と聞きたくなるでしょう。さんざん塩を例に出したので、「塩だな」と思ったかもしれませんが、実は「ナトリウム」ではなく「アルブミン」です。血液中にあるたんぱく質の実に約6割がアルブミンだというのも覚えておきましょう。ちなみにアルブミンは細胞膜を通過できません。だから細胞膜を通過できる水と栄養分だけが移動できるんです。

さんざん塩を例に出しましたが、これは濃度を例に出したときに一番分りやすいからであって、あくまでも「血漿膠質浸透圧の低下による浮腫」に関わる浸透圧を主にコントロールしているのは「アルブミン」なんです。

ではなぜ血液のアルブミン濃度が下がると浮腫になるのか。
ここからが重要です


浮腫は「間質に水が過剰に溜まった状態」のことですが、その水は「血液中の水分が間質に奪われたこと」を表します。血液中のアルブミン濃度が平常であれば間質液も、血液も常に一定量なんですが、どちらかの濃度が薄くなる(ここでは血液中のアルブミン濃度が薄くなる)と、薄くなった方から濃い方(間質)へ水がどんどん流れ出ていきます。間質液の方が濃いから水を引っ張る力があるために起こる現象です。そうすると過剰に間質に水が溜まり、いわゆるむくみ(浮腫)を引き起こすんですね。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

ちょっと端折って説明したので補足すると、栄養分や水分は

動脈⇒動脈の毛細血管⇒間質⇒細胞⇒間質⇒静脈の毛細血管⇒静脈

という流れで移動します。もちろん、酸素や二酸化炭素もです。細胞までいくと老廃物も出てきます。
正常な人は、血液と間質液では血液のほうが濃度が高いです。なので単純に考えると、動脈では間質から動脈の毛細血管へ水分が逆流していきそうですが、動脈血管には圧力(血圧)があり浸透圧よりも血圧が勝って、栄養分や水分を細胞に運ぶことが出来るんです。逆に、静脈血管には、動脈ほどの圧力(血圧)がないので、浸透圧が勝って、老廃物や水分が静脈の毛細血管に流れ出るようになっています。健康な人はこのような流れが絶え間なく一定に続いていると考えて下さい。一定に流れていれば浮腫は起こりません。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

浮腫は「間質に水が溜まること」であり、その原因は「血液濃度(アルブミン)の低下」であることが分かれば浮腫はそれほど難しくありません。

アルブミン濃度の低下により、動脈の毛細血管が持っていた浸透圧(間質のほうから血管に水を引っぱろうとする力)が低下し、逆に間質に水が引っ張られます。これにより、間質に過剰に水が溜まり浮腫となるんですね。

アルブミン濃度低下の原因は肝臓疾患が考えられます。なぜならアルブミンは肝臓で合成されているから。これはわかりやすいでしょう。肝臓が正常に働かなければアルブミンも作られません。これにより低アルブミン血漿となり浮腫となるのです。

他にも、「腎不全で腎機能が低下すると水分を外に排出できなくなるために、水が過剰に間質に蓄積され浮腫になる。」とか、「心臓疾患により、血液の循環がスムーズに行かなくなって、静脈に圧力がかかり間質に異常に水が溜まって浮腫になる。」とかまだまだ浮腫にはさまざまな種類がありますが、一番最初に説明した「血漿膠質浸透圧の低下により浮腫になる」というのが一番理解に苦しむところでもあります。だからこそ問題にも出るんです。なので、あえてこちらにスポットをあてて説明しました。

以上で説明を終わりますが、なかなか一回では理解できないと思います。ですが、少しずつ自分が理解できるところを増やしてみてください。そうすれば「いつの間にか浮腫が理解できるようになっていた」という感じが理想的です。浮腫にだけスポットを当てるのではなく、その周辺事情も考えながら勉強すると深い理解に繋がると思います。


最後まで読んでくれた人にご褒美として「浮腫と血漿膠質浸透圧低下」を結びつけるゴロをここで紹介しましょう。ブッシュ元大統領を皇帝にしてみました。

ブッシュ皇帝(ブッシュこうてい)

これはつまり

ブッシュ=浮腫

皇帝=血漿膠(こう)質浸透圧の低(てい)下


を表したものです。短いですが我ながら、インパクトと簡潔さはピカイチのゴロだと思います。



引き続き皆さんからの質問や、感想、ゴロの作成依頼を募集しています。依頼には出来うる限り対応していますので気軽にコメント、メールをしてみてください。メールは☆を@にして下さい。inufukuken☆gmail.com
<< TCA回路とクレブス アミノ基転移酵素の覚え方(AS... >>