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ゴロで覚える管理栄養士国家試験

リポたんぱく質の代謝の覚え方(第27回-84)

リポたんぱく質の代謝に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)キロミクロンは、コレステロールを含まない。
(2)VLDLは、主に小腸で合成される。
(3)LDLは、VLDLから生成される。
(4)LDLは、VLDLよりトリアシルグリセロール含有率が高い。
(5)HDLは、肝臓で合成されたコレステロールを末梢組織へ運搬する。



問題的にはさほど難しくないと思います。こうゆう問題を確実にものに出来れば合格にまた一歩近づけるでしょう。

(1)はコレステロールも含むので×
(2)は小腸で合成されるのは主にキロミクロン。VLDLは肝臓で合成するので×。
(3)○
(4)トリアシルグリセロールの含有率が高いのはVLDLなので×。
(5)肝臓で合成されたコレステロールを末梢組織に運搬するのがLDLなので×。




リポたんぱく質とは、簡単に言うと「中性脂肪やコレステロールを運ぶ運搬船」です。その運搬船の中身の主な積荷が何なのかで、名前が変わると覚えましょう。ただし、積んであるコレステロールや中性脂肪は、すべてが無くなる事はなく、必ず微量ですがどちらも含んでいます。含有率を示した表などを参考にするとよいでしょう。

では、代謝されていく順番で、名称ごとの役割を紹介します。

①(キロミクロン)
食事で摂取した中性脂肪(以降TGと略す)は一度分解されたあと、最終的に小腸で吸収されてリポたんぱく質という運搬船に乗り、血中で全身をめぐる。途中毛細血管に存在するリポたんぱく質リパーゼ(以降LPLと略す)により各組織に少しずつTGを降ろして行く。

②(キロミクロンレムナント)
食事で摂取したTGを降ろし終わると肝臓へいったん帰港する。TGがほとんど無い状態。

③(VLDL)
肝臓へ戻ると、今度は肝臓で合成したTGを積み再度出港。血中で全身をめぐる。途中、毛細血管に存在するLPLにより各組織に少しずつTGを下ろして行く。

④(IDL)
肝臓で合成したTGを降ろし終わると肝臓へまた帰港する。TGがほとんど無い状態。

⑤(LDL)
肝臓へ戻ると、今度は肝臓で合成したコレステロールを船に積んで再々度出港、血中で全身をめぐり、LDL受容体がある各組織にコレステロールを届ける。

⑥(HDL)
コレステロールを降ろした船は、血中で余っているコレステロールを積んで、肝臓へ持ち帰る。


この手の問題で最低覚えなければならないのは②と④を抜かした、
①キロミクロン⇒③VLDL⇒⑤LDL⇒⑥HDL
の4つとその順番です。

②のキロミクロンレムナントや、④のIDLは上の4つが変化していく途中の「状態」をあらわすものなので、これといって出題されるような大きな役割がありません。ただ言葉はたまに出て来るので参考までに書きました。ちなみに、「レムナントとは死骸である」という覚え方が一番しっくりきます。キロミクロンレムナントは、キロミクロンから、外因性のTGがほとんど抜け出た状態のまさに「死骸」です。


要するに、リポたんぱく質はこの一連の流れ(代謝の流れ)があっての①~⑥の名称であって、名前を覚えてから役割を覚えるのではなく、リポたんぱく質がどういう役割を持っているかを順序を区切って覚えてから名称を覚えると忘れにくいでしょう。


最後に順序を覚えるゴロを紹介します。
元気が出ない時は、リポD飲んで元気を出しましょう!という訳で

リポD=リポたんぱく質で、その後にリポたんぱくが代謝されていく順番でつなげてみました。



リポD飲んで、気分はLOWからHIGHへ。



キ(キロミクロン)
ブ(VLDL)


Low (LDL)


High(HDL)



で4つが順番に並んでますから、間違わないでしょう。

ポイントはVLDLからLDLに変化する所で、よく順序を逆にして出題されます。


私が勉強して、一番覚えやすかったのは「クエスチョンバンク」のリポたんぱく質の代謝経路が書かれたイラストです。まさに、運搬船のような表記の仕方で忘れにくいと思います。

他に参考になったサイトは「役に立つ薬の情報~専門薬学」というサイトです。

リポたんぱく質は、外因性と内因性のTGとコレステロールを運ぶ「運搬船」だという理解ができれば、リポたんぱく質は運搬船の積荷が変わることで船の名前が変わっているだけで、船(入れ物)自体は変わらないんだと
いうことがわかると思います。

難しいと思うかもしれませんが、やっていることは意外と単純で覚えやすく、脂質異常症を勉強する上では欠かせない知識となります。是非マスターしましょう!!
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