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ゴロで覚える管理栄養士国家試験

【頻出問題!!】レニンによる血圧上昇のしくみ

血圧調節の機能には、神経性の調節と、体液性の調節がありますが、試験に出てくるのはほとんどが後者で、こちらさえ覚えておけば9割方解答できると思います。

まず、この図を見て下さい。
【頻出問題!!】レニンによる血圧上昇のしくみ_e0223539_1839214.png


この図は、タイトル通りレニンによる血圧上昇のしくみ(体液性の調節)を表したもので、順を追って説明するとおおよそ次の通りです。

①全身の血圧が低下して腎血流が減少すると、腎臓の傍糸球体細胞からレニンが分泌される。

②レニンが血中の不活性型のアンジオテンシノーゲンに作用して活性型のアンジオテンシンⅠへ変える。

③これがアンジオテンシン変換酵素(ACE)によってアンジオテンシンⅡとなると、血管を収縮させて血圧を上昇させるのと同時に、副腎皮質を刺激しアルドステロンの分泌を促す。

④アルドステロンは遠位尿細管におけるナトリウムの再吸収を亢進する。

⑤さらに浸透圧を一定にする必要性から、脳下垂体後葉からバソプレッシン(ADHまたは抗利尿ホルモンともいう)が分泌され、腎臓の集合管に作用して水分の再吸収を促進する。

⑥③④⑤により血圧が上昇する。

⑦血圧が上昇すると、ネガティブフィードバックによりレニン分泌を抑制する。



この「レニンによる血圧上昇のしくみ」は今年の第27回の国家試験にも、関連する問題が多く出題されました。このレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系と言われる一連の血圧上昇の流れが分かれば、以下の問題はそんなに難しくないはずです。



第27回問27
(4)循環血液量が減少すると、レニンの分泌が抑制される。
解答×分泌は促進される。

第27回問36
(4)バソプレシンは、血管収縮作用がある。
解答

第27回問38
(1)レニンは、カリウムの吸収を促進する。
解答×図を追っていくと、ゆくゆくはアルドステロンを分泌させナトリウムの吸収を促進している。

第27回問38
(3)アルドステロンは、ナトリウムの排泄を促進する。
解答×カリウムの排泄を促進し、ナトリウムの再吸収を促進する。

第27回問38
(4)バソプレシンは、ナトリウムの吸収を促進する。
解答×バソプレシンは水の再吸収を促進する。

第27回問40
(2)原発性アルドステロン症では、血漿レニン活性が上昇する。
解答×アルドステロンが過剰分泌されるので、レニン活性は低下する。

第27回問47
(5)赤血球の産生を刺激するホルモンはレニンである。
解答×レニンは血圧を上昇させる働きを持つ。

第27回問104
(3)脱水が生じたとき、バソプレシンの分泌は低下する。
解答×バソプレシンは抗利尿ホルモンとも呼ばれ、水の再吸収を促進するので、脱水が生じたときは水を外に出さないように水の再吸収を促進する。

第27回問104
(4)脱水が生じたとき、アルドステロンの分泌は亢進する。
解答○アルドステロンを分泌しナトリウムを再吸収することで、水分の体内貯留が促される。

第27回問142
(2)原発性アルドステロン症――血清カリウム値の上昇
解答×血清カリウム値の低下。血清ナトリウム値の上昇。

このように、今回の国家試験でも3分野(応用栄養学、人体の構造と機能、臨床栄養学)にわたり、7問もの問題に関連しています。

こんなに複数の問題にかかわっている分野は他にありません。ここをマスターするだけで、プラス2点は取れるようになるでしょう。「たった2点?」と思ったあなた。その2点が合否に影響することがあります。それに、こんな風に1つの分野をマスターしただけですぐに点を稼げる所はまずないでしょう。それくらい血圧上昇のしくみは勉強する価値があります。

一問一問はなかなか難易度が高いですが、たったこれだけを理解していれば問題を解くときにかなりの安心感があります。

特に、副腎皮質に腫瘍が出来て、アルドステロン分泌が亢進する原発性アルドステロン症は毎回のように出題されます。また、ACE阻害剤という高血圧の薬は、図に出てくるACE(アンジオテンシン変換酵素)を分泌しないようにする、つまり阻害する薬(降圧剤)のことで、これも臨床栄養学で出題される可能性があります。このように関連する問題が多くあるので是非この機会に復習してみて下さい。

アルドステロンの覚え方はこの回で紹介しています。↓↓

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この血圧上昇のしくみは管理栄養士国家試験の出題される問題の中で、最重要ポイントだと思います。最初は少し難しく感じるかもしれませんが、理解できればなんていうことはありません。そのうちサービス問題と思えるようになるでしょう。頑張って覚えて得点力アップにつなげましょう!
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