栄養補給法について(その2)

今回は第26回国家試験の栄養補給法に関連する問題4問を紹介します。

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第26回-127 経口栄養法に関する記述である。誤っているのはどれか。1つ選べ。

(1)軟食は、主食の形態による分類である。
(2)流動食の目的の一つは、水分補給である。
(3)常食は、患者の年齢も考慮した食事である。
(4)特別食加算の貧血食は、溶血性貧血が対象である。
(5)注腸造影検査食は、食物繊維を少なくした食事である。

どちらかというと、こういう問題は苦手です。それでも、(1)(2)(3)がなんとなく○だと思いませんか?

(1)の軟食は何分がゆかで分類されるそうです。(2)はそうなんだろうし、(3)もでしょうねという感じ。ちょっととらえどころがない問題ですね。問題そのものがやんわりしているというか…。

(5)は本当のところが分からなくても腸の検査をするみたいだから低残渣だろうと○にしますよね。残るは(4)つまりは、溶血性貧血は特別食加算はもらえないということですね。もらえるのは鉄欠乏性貧血だそうです。もっと知りたい方は、


上記サイトを参考にしてください。よって、誤っているのは(4)です。



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第26回-128 経腸栄養法に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

(1)経鼻経管法では、カテーテル先端を回腸に留置する。
(2)成分栄養剤の脂肪エネルギー比率は、20%である。
(3)腸瘻による経腸栄養管理は、8 週間を超えてはならない。
(4)食道通過障害時には、使用できない。
(5)肝不全用経腸栄養剤は、芳香族アミノ酸を少なくしている。

この問題は、経腸栄養がどうゆうものか概略が分かれば難しくはないと思います。まず、(4)食道通過障害があっても、胃瘻などは食道を通さないで直接胃に栄養剤を投与できるので×。

(1)はひっかけで、カテーテル先端を留置するのは胃か、または誤嚥の可能性がある場合は空腸に留置するそうです。空腸が回腸の前だと分かっていればわかると思います。

(3)は胃瘻腸瘻の目的が、長期栄養管理にあることが分かっていれば×だと分かるでしょう。

ちなみに、下図からも分かるように、6週間が経鼻経管栄養法と胃瘻腸瘻のターニングポイントになるそうです。
e0223539_12122321.png

残るは(2)か(5)で2択になりますが、(5)の肝不全でフィッシャー比が低下することが分かっていればこちらを選ぶことができるでしょう。フィッシャー比は(分岐鎖アミノ酸/芳香族アミノ酸)でしたね。肝臓では通常芳香族アミノ酸を代謝していますが、肝不全つまり肝臓の働きが低下しているので芳香族アミノ酸を代謝できない訳ですから値が大きくなるため、フィッシャー比が低下します。分からない人は、このページを見て下さい。
よって(5)は○。

ここまでわかれば(2)は特に覚えていなくても解けるのであえて解説しません。まぁこういう断定的な文はあやしいと疑ってかかるようにしましょう。




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第 26回-129 静脈栄養法による栄養管理に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。

(1)生理食塩水には、9mEq/ℓのNa+が含まれる。
(2)成人のブドウ糖の投与速度は、10 ㎎/㎏体重/分とする。
(3)高カロリー輸液基本液には、亜鉛が含まれる。
(4)ビタミンB6 欠乏では、代謝性アシドーシスを発症する。
(5)脂肪乳剤は、末梢静脈から投与できない。

ここで、真っ先に突っ込みたい文は(2)です。これは単純計算になりますが、10 ㎎/㎏体重/分だと、仮に60kgの男性が1分に600mg(0.6g)のブドウ糖を投与できることになります。よく考えると10分で6g。100分で60g。1000分(16.7時間)で600gのブドウ糖つまり、1gのブドウ糖が4kcalだとすると、600g×4kcal=2400kcal供給できることになります。「1日のエネルギーを静脈栄養法で賄うことはできない」と何かで見たことがあったのでこれは×だなと思いました。

(4)は意外と教科書ではやらない部分かもしれません。よく、「アスリートが無酸素運動や激しい運動で筋肉内に乳酸が溜まってしまう」というのを聞いたことがあると思います。これも、血中に乳酸が溜まるので代謝性アシドーシス(乳酸アシドーシス)になる場合があります。なぜ乳酸が溜まるかは、ミトコンドリア内のクエン酸回路は無酸素状態だと代謝されないから、無酸素状態でも代謝できる乳酸が産生されるという訳です。ビタミンB1不足でもこれと同じような状態が起こります。ピルビン酸をアセチルCoAを生成する時に、ビタミンB1の活性型であるチアミンピロリン酸が必要でしたね。これが欠乏すると先程と同じようにクエン酸回路が代謝されません。自動的に乳酸が産生され乳酸アシドーシスになるという感じです。なので(4)は×。


(3)の高カロリー基本液は前回も出てきましたね。こうなると覚えない訳にはいきません。

そこでこんな語呂を作ってみました。 前回は、微量元素製剤が I Fe Cu Mn Zn の5種類あると説明しました。

今度は、高カロリー基本(輸)液です。こちらは、ちょっと多くて、

Kカリウム Naナトリウム Caカルシウム Zn亜鉛 Pリン Crクロム Cl塩素(クロール) Mgマグネシウム の電解質が7種入っているそうです。

K、Na、Caはなんとなく入っていそうですよね。Caカルシウムは人体のミネラルで一番多いそうです。NaとKは細胞内には欠かせませんよね。なのでそれ以外をどう覚える考えました。というか、ゴロを作ったんですが、K、Na、Caを入れられなかったと言った方が良いかもしれません。

では、紹介します。



基本は 絶倫 クロール マグロ
        ゼツ リン クロール マグロ
        Zn  P   Cl    Mg


特に意味はありませんが、インパクトはかなりあると思います。

そして前回のゴロ微量元素剤をもうひと押し

微(量)妙なヒーロー I am 鉄道マンZ

I(ヨウ素) am 鉄(Fe) 道(Cu) マン(Mn) Z(Zn)

頭に微妙(微量)が付けば、出てきやすいと思い付け足してみました。

これを覚えれば高カロリー基本(輸)液と微量元素剤の問題が出てきても、絶対大丈夫です。ちなみに、Zn(亜鉛)はどちらにも入っている元素であることを覚えておきましょう。 ここまでわかれば、(3)が正解だと分かります。ただ、(1)が×の理由を知りたければこのサイトを参考にしてください。
(5)は投与できるので×。これは覚えているかどうかです。




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第26回-142 脳血管障害に関する記述である。誤っているのはどれか。1つ選べ。

(1)片麻痺が生じると、ADL は低下する。
(2)意識障害の程度は、血清CRP 値で判定される。
(3)寝たきりになると、エネルギー必要量は減少する。
(4)意識障害がある場合も、経腸栄養法が適用できる。
(5)経口摂取を開始する場合には、誤嚥性肺炎に注意する。

この問題は、栄養補給法の問題というよりは、脳血管障害の問題なんですが、一緒にやってみましょう。

(1)のADLは(activities of daily living)のことで、日本語で日常生活動作のことです。意味が分かっていれば低下すると分かるでしょう。よって正しいので○。(3)(5)も常識的に○ですよね。あとは、(2)か(4)のどちらかが間違っているわけですが、

(2)の意識障害は、前回27回の問題でやったJCSやGCSで判定します。興味があったら調べてみましょう。血清CRP値(別名C反応性タンパク)は体内で炎症が起こった時に24時間以内に急増するそうです。つまり、体内で炎症や組織細胞の破壊が起こると血清中に増加するものなので、意識障害の程度はわかりません。よってこれが誤りなので×。

(4)は経腸栄養法がどういう物なのか分かっていれば難しくないはずです。(4)が○だと分かれば必然的に(2)が×ですが、2択まで絞れたので良しとしましょう。



今回は、第26回(前々回)の栄養補給法の問題をピックアップしてみました。参考になったでしょうか。今回も私が参考にさせていただいたのは、山口県立大学教授長坂先生のサイト「管理栄養士国家試験徹底解説」 です。
是非皆さんも参考になさってください。ちなみにゴロは私のオリジナルです



受験生のみなさん。最後まであきらめずがんばりましょう。






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by inufukuken | 2014-03-15 14:47 | 臨床栄養学(6) | Comments(2)

Commented by 管理栄養士国家試験受験生 at 2017-03-14 18:05 x
突然失礼します。
高カロリー輸液の基本液や微量元素製剤のゴロが斬新で覚えやすくて助かります。
ただ、高カロリー輸液の基本液にクロムは含まれておらず、塩素Clの間違えではないでしょうか。

高カロリー輸液のどの輸液にも含まれていない微量元素がセレンとクロムです。

高カロリー輸液の覚え方を検索するとこちらのサイトが最初の方に出てくるので訂正をお願いします。

Commented by inufukuken at 2017-03-14 23:35
ありがとうございます。
訂正しました。