グリコーゲンの代謝について(第29回-問82)



先日、こんな質問を頂きましたので国家試験の問題とからめてお答えしたいと思います。


~あんさんからの質問~
「グリコーゲンの分解は筋グリコーゲンは解糖系に進み、肝グリコーゲンは血中に流れる…であっていますか?」


私は、専門家ではないので、教科書や参考書で私が勉強した範囲でわかることを書きたいと思います。
グリコーゲンには肝臓に貯蔵される肝臓グリコーゲンと、筋肉に貯蔵される筋肉グリコーゲンがあります。
筋肉グリコーゲンはグルコースに変換できないため解糖系に進み筋肉を動かすエネルギーとしてしか利用できません。
しかし、肝臓グリコーゲンはグリコーゲンをグルコースに変換することができるため、血糖維持ができます。
なぜグルコースに変換できるかというと、肝臓には「グルコース-6-ホスファターゼ」という「グルコース-6-リン酸」を「グルコース」に変換す る酵素があるからです。逆にいうと、筋肉にはこの酵素がないからグルコースに変換できないのです。正確には「肝臓グリコーゲンが血中に流れる」のではなく、「肝臓グリコーゲンから作られたグルコースが血中に流れる」のです。
さて、解説ばかりでもつまらないでしょうから実際に今年の問題文を見てみましょう。



第29回-問82 血糖の調節に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)筋肉グリコーゲンは、分解されて血中グルコースになる。
(2)脂肪酸は、グルコースの合成材料になる。
(3)乳酸は、グルコースの合成材料になる。
(4)グルカゴンは、血糖値を低下させる。
(5)インスリンは、血中グルコースの脂肪組織への取り込みを抑制する。



(1) が、そのものずばりだということがわかると思います。これで誤りが1ヶ所わかりましたね。(1)を正文にするには「筋肉グリコーゲン」を「肝臓グリコーゲン」に直せば良いのです。ちなみに、(4)(5)で出てくるグルカゴンやインスリンは血糖維持に重要な役割をするホルモンです。インスリンは聞いたことがあると思います。体内で唯一血糖を下げてくれるホルモンですよね。グルカゴンは逆に血糖を上げるホルモンです。血糖上昇ホルモンは他にもいくつかあります。グルカゴンは肝臓グリコーゲンを分解してグルコーズを生成させるホルモンです。この際ですので覚えておきましょう。よって(4)は×。(5)も×となります。なぜでしょう?脂肪組織へ血中のグルコースを取り込むとどうなるでしょう。血糖値は下がりますね。つまり「インスリンは血中グルコースの脂肪組織への取り込みを促進する」が正しいんです。ゴールが見えてきました。残り(2)か(3)です。(2)は知らなければわからない問題です。脂肪酸というのは、脂肪を分解すると出来るもので、グルコースの合成材料にはなりません。これは覚えるしかないです。ちなみに脂肪を分解すると、3つの脂肪酸とグリセロールに分解できます。このグリセロールはグルコースの合成材料になります。 これで残るのが(3)となるので、正解は(3)です。乳酸がグルコースに変換される経路(糖新生)をコリ回路といいます。ちょっと調べてみて下さい。なかなか重要な部分ですよ。



どうですか?1問解くのにこれ だけのものが必要となります。 「5つから1つを選べばいいや」ではなかなか正解にはたどり着けません。ブログでもお話 していますが、5択を解くには 1つでも間違いを見つけて消していく「消去法」が私の中では一番の正攻法です。


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by inufukuken | 2015-11-13 19:03 | 基礎栄養学(23) | Comments(0)