2014年 01月 19日 ( 1 )

敏感度と偽陽性率の関係(第27回-7)

以前に投稿した記事の解説に間違いがありました。
訂正してお詫びします。
コメント欄にご指摘いただきました「かおりんご」さんご指摘ありがとうございました。
また、勉強に混乱を招いてしまったことを合わせて深くお詫び申し上げます。





上腕周囲長による低栄養のスクリーニング陽性基準値(カットオフ値)を高くすると、敏感度と偽陽性率がどう変わるかの組み合わせである。正しいのはどれか。1つ選べ

  敏感度―――偽陽性率
(1)低くなる―――高くなる
(2)低くなる―――低くなる
(3)高くなる―――高くなる
(4)高くなる―――低くなる
(5)変わらない―――変わらない

さあ前回までの集大成としての問題ですね。これがわかるということはカットオフ値を高くしたり低くしたりすることの意味がわかっているということになります。こういう問題はどうとでも書き換えられるので、問題にしやすいですね。それに簡単には答えがでないので、これからも出題される可能性が高いと思います。何回もいいますがこれは暗記では解けませんよ!是非理解して次につなげましょう。

―前回の投稿から―

疾患持ちで陽性が敏感度、疾患無しで陰性が特異度でしたね。

偽陽性や偽陰性は読んで字のごとく、疾患持ちで検査陰性が偽陰性。疾患無しで検査陽性となるのが偽陽性となります。つまり次のように考えることができます。

偽陰性=100%-敏感度(1-敏感度)
偽陽性=100%-特異度(1-特異度)


今回は、低栄養というのが「疾患」となります。つまり「上腕周囲径のサイズで低栄養の人を当てたい」訳です。なので、ここでは低栄養かどうかは事前に分かっていると思ってください。そうしないと敏感度や特異度というのは計算できません。


カットオフ値を高くするというのは、陽性基準値を上げることです。ここでは上腕周囲径と低栄養の関係を問題としています。上腕周囲径は年齢における差異が大きいので、ここでは5歳児を例に説明します。上腕周囲径の値が12.5cmだと中度の栄養失調(低栄養)とみられます。そこでまず、12.5cmをカットオフ値(陽性基準値)とします。それから問題文にあるように、この値を高くしてみましょう。

例えばカットオフ値を20cmとすればどうでしょう。12.5cm未満で陽性(低栄養)だったのが、20cm未満で陽性(低栄養)とされることになるんです。逆に20cm以上で陰性(正常者)とされます。

単純に考えて、
①敏感度(低栄養者で陽性)の人は増えますか?減りますか?
②特異度(正常者で陰性)の人は増えますか?減りますか?

①の敏感度は増えますね。だって、12.5cm未満で低栄養だったのが、20cm未満でも低栄養になるんですから。この基準だと12.5cm未満の児童は変わらず陽性(低栄養)となり。さらに12.5cm~20cm未満までの児童も陽性(低栄養)となります。このように陽性と判断する基準が甘くなれば、どんな人でも陽性になってしまいます。

②特異度はどうでしょう。12.5cm以上で正常だったのが、20cm以上で正常とこちらは陰性と判断する基準が厳しくなっていますね。つまり、特異度は下がるんです。
ただし、今回求めるのは偽陽性率でしたね。偽陽性率の求め方は、1-特異度です。よって、特異度が下がると相反して偽陽性率は上がるんです。

つまり、敏感度は上がり、偽陽性率も上がります。

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これで、わかる人はどれくらいいるんでしょうか?
今回の問題は非常に難しかったと思います。単純に今までの過去問をこなしてきた人は2を選んでしまう危険性があります。なぜなら、今まで出てきた多くの問題は、値が高いと陽性と判断される問題がほとんどでした。だから、今までやってきた問題であればほとんどがカットオフ値を上げると敏感度が下がり、特異度が上がっていたんです。それを覚えていればおのずと2を選びたくなります。

しかし、今回セッティングされた「低栄養と上腕周囲径の関係」というのは、値が高いほうが正常になるわけで、そこがいままでの問題と逆なんです。そのために答えが今までと正反対になってしまうんです。

ちょっと説明がわかりにくいと思うので、通常の問題を紹介してみましょう。

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普通の問題であれば、次のように考えれば問題が解けます。

例えば「血糖値120mg/dl以上で糖尿病が陽性になる」としましょう。それを正常な基準値だとすると、陽性基準値を高くするということは「血糖値150mg/dl以上で糖尿病が陽性になる」と言っているのと同じです。基準値を高くすると陽性になる人が減る。つまり、敏感度は下がります。「検査がゆるくなる」ということでしょうか。とにかく、敏感度とは「糖尿病患者の集まり」だというのを忘れないでください。

次に、特異度を考えて見ましょう。特異度とは糖尿病でない人の集まりですね。この人たちの集まりで血糖値120mg/dl以上の人というのはほんのわずかです。さらに、この基準を150mg/dl未満で陰性とすれば特異度(陰性になる人)はさらに上がり下がります。つまり、偽陽性率は下がる上がるんです。(2013.1.19訂正)


こんな風に、多くのスクリーニング検査では、値が高ければ高いほうが疾患が重度となることが多いです。これはみなさんも「そうそう」と思うでしょう。そんなわけで、今まではセオリー通りの問題がほとんどでした。セオリー通りの問題なら、はっきりいって次のように考えることが出来ました。

「カットオフ値」を高くすると敏感度は上がり下がり、特異度は下がる上がる。」2013.1.19訂正

しかーし、この問題のせいで今までのセオリーはくつがえされました。なぜなら上腕周囲径は、値が低いほど低栄養となるからです。つまり、陽性基準値を上げると敏感度が上がってしまうんです。今までと考え方が逆なんですね。

うーんはっきり言って、出題者はどんな意図をもってこの問題を出したんでしょうか?ひっかけで出したのなら、まぁ仕方ない。難しい問題だったなぁとあきらめるしかないと思いますが、これをセオリー問題として出題したのなら良い問題とは言えませんね。そうでなくとも理解しにくいこの分野でこんな問題を出して何になるんでしょうか。

ちなみに、女子栄養大で出版している解説本(通称赤本)も最初は正解を2としていて、あとから正解を3と訂正しているんです。女子栄養大の訂正解説は次のリンクからアクセスできます。
http://eiyo.sub.jp/seigo/kakomon2014.html

厚労省から、正式な解答がまだ出ていないのでなんとも言えませんが。ちょっとイジワルな問題だと私は思いました。

これが解けなくても管理栄養士には合格できます!絶対に!
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by inufukuken | 2014-01-19 08:46 | 社会と健康(21) | Comments(7)