疫学研究についてⅣ(敏感度(感度)と特異度)

以前にコホート研究における寄与危険度と相対危険度を紹介しました。

この中で、敏感度(感度)と特異度についてふれていなかったと思ったので紹介します。

ある病気(例えば肺癌)にかかっているかを調べる検査で、


敏感度とは、
肺癌にかかっている人が、正しく陽性と判定される確率。

特異度とは
肺癌でない人が、正しく陰性と判定される確率。


のことです。意味が分かっているなら計算式を暗記する必要はありません。

数字を出して例えるなら

対象が100人
そのうち、
肺癌の人70人
肺癌でない人30人

この100人に肺癌かどうかを判定する検査をした結果、

肺癌の人70人中
検査陽性が、63人
検査陰性が、7人

肺癌でない人30人中
検査陽性が、6人
検査陰性が、24人

だったとすると

----- ---------------------------
    疾患    疾患     
    あり     なし  

陽性   63     6   
    
陰性   7     24   

----- ---------------------------
敏感度は70÷63×100=90% 63÷70×100=90% 2015年11月27日訂正
特異度は30÷24×100=80% 24÷30×100=80%


となります。

私の場所は、

ありあり(病気あり、陽性反応あり)が敏感度

なしなし(病気なし、陽性反応なし)が特異度


と覚えていました。さらに間違わないように、特異度は(とくいんど)と読んで「いん」と出て来る方が陰性だと覚えました。


これで、敏感度特異度は終わりです。


次は最近よく出題されている、偽陽性と偽陰性について紹介します。

偽陽性と偽陰性は敏感度と特異度に密接にかかわっています。

疾患持ちで陽性が敏感度、疾患無しで陰性が特異度でしたね。

偽陽性や偽陰性は読んで字のごとく、疾患持ちで検査陰性が偽陰性。疾患無しで検査陽性となるのが偽陽性となります。

式にすると

偽陰性7÷70×100=10%
偽陽性6÷30×100=20%

となります。

ここでわかるように、
偽陰性=100%-敏感度
偽陽性=100%-特異度

であることが想像できると思います。

偽とあたまについていますので、ニセモノの陽性、陰性だと考えればあえて暗記はいりませんね。
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by inufukuken | 2013-04-26 00:01 | 社会と健康(21) | Comments(6)

リポたんぱく質の代謝の覚え方(第27回-84)

リポたんぱく質の代謝に関する記述である。正しいのはどれか。1つ選べ。
(1)キロミクロンは、コレステロールを含まない。
(2)VLDLは、主に小腸で合成される。
(3)LDLは、VLDLから生成される。
(4)LDLは、VLDLよりトリアシルグリセロール含有率が高い。
(5)HDLは、肝臓で合成されたコレステロールを末梢組織へ運搬する。



問題的にはさほど難しくないと思います。こうゆう問題を確実にものに出来れば合格にまた一歩近づけるでしょう。

(1)はコレステロールも含むので×
(2)は小腸で合成されるのは主にキロミクロン。VLDLは肝臓で合成するので×。
(3)○
(4)トリアシルグリセロールの含有率が高いのはVLDLなので×。
(5)肝臓で合成されたコレステロールを末梢組織に運搬するのがLDLなので×。




リポたんぱく質とは、簡単に言うと「中性脂肪やコレステロールを運ぶ運搬船」です。その運搬船の中身の主な積荷が何なのかで、名前が変わると覚えましょう。ただし、積んであるコレステロールや中性脂肪は、すべてが無くなる事はなく、必ず微量ですがどちらも含んでいます。含有率を示した表などを参考にするとよいでしょう。

では、代謝されていく順番で、名称ごとの役割を紹介します。

①(キロミクロン)
食事で摂取した中性脂肪(以降TGと略す)は一度分解されたあと、最終的に小腸で吸収されてリポたんぱく質という運搬船に乗り、血中で全身をめぐる。途中毛細血管に存在するリポたんぱく質リパーゼ(以降LPLと略す)により各組織に少しずつTGを降ろして行く。

②(キロミクロンレムナント)
食事で摂取したTGを降ろし終わると肝臓へいったん帰港する。TGがほとんど無い状態。

③(VLDL)
肝臓へ戻ると、今度は肝臓で合成したTGを積み再度出港。血中で全身をめぐる。途中、毛細血管に存在するLPLにより各組織に少しずつTGを下ろして行く。

④(IDL)
肝臓で合成したTGを降ろし終わると肝臓へまた帰港する。TGがほとんど無い状態。

⑤(LDL)
肝臓へ戻ると、今度は肝臓で合成したコレステロールを船に積んで再々度出港、血中で全身をめぐり、LDL受容体がある各組織にコレステロールを届ける。

⑥(HDL)
コレステロールを降ろした船は、血中で余っているコレステロールを積んで、肝臓へ持ち帰る。


この手の問題で最低覚えなければならないのは②と④を抜かした、
①キロミクロン⇒③VLDL⇒⑤LDL⇒⑥HDL
の4つとその順番です。

②のキロミクロンレムナントや、④のIDLは上の4つが変化していく途中の「状態」をあらわすものなので、これといって出題されるような大きな役割がありません。ただ言葉はたまに出て来るので参考までに書きました。ちなみに、「レムナントとは死骸である」という覚え方が一番しっくりきます。キロミクロンレムナントは、キロミクロンから、外因性のTGがほとんど抜け出た状態のまさに「死骸」です。


要するに、リポたんぱく質はこの一連の流れ(代謝の流れ)があっての①~⑥の名称であって、名前を覚えてから役割を覚えるのではなく、リポたんぱく質がどういう役割を持っているかを順序を区切って覚えてから名称を覚えると忘れにくいでしょう。


最後に順序を覚えるゴロを紹介します。
元気が出ない時は、リポD飲んで元気を出しましょう!という訳で

リポD=リポたんぱく質で、その後にリポたんぱくが代謝されていく順番でつなげてみました。



リポD飲んで、気分はLOWからHIGHへ。



キ(キロミクロン)
ブ(VLDL)


Low (LDL)


High(HDL)



で4つが順番に並んでますから、間違わないでしょう。

ポイントはVLDLからLDLに変化する所で、よく順序を逆にして出題されます。


私が勉強して、一番覚えやすかったのは「クエスチョンバンク」のリポたんぱく質の代謝経路が書かれたイラストです。まさに、運搬船のような表記の仕方で忘れにくいと思います。

他に参考になったサイトは「役に立つ薬の情報~専門薬学」というサイトです。

リポたんぱく質は、外因性と内因性のTGとコレステロールを運ぶ「運搬船」だという理解ができれば、リポたんぱく質は運搬船の積荷が変わることで船の名前が変わっているだけで、船(入れ物)自体は変わらないんだと
いうことがわかると思います。

難しいと思うかもしれませんが、やっていることは意外と単純で覚えやすく、脂質異常症を勉強する上では欠かせない知識となります。是非マスターしましょう!!
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by inufukuken | 2013-04-11 23:17 | 基礎栄養学(17) | Comments(0)