年齢調整死亡率(直接法)の求め方(第27回-5)

A地域における年齢階級別人口と1年間の死亡数、並びに基準集団の年齢階級別人口を表に示した。直接法によるA地域の年齢調整死亡率(人口10万対)である。正しいのはどれか。1つ選べ。
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(1)220
(2)250
(3)1000
(4)2200
(5)2500

年齢調整死亡率とは、
「観察集団(ここではA地域)の年齢階級別死亡率が基準集団で起きた場合の死亡率」であり、年齢構成を基準集団のものに揃えることによって比較する集団間の年齢構成の違いの影響が制御されている指標です。

≪求め方≫
①対象とする地域(ここではA地域)で年齢階級別の死亡率を計算し、
②「基準とする人口」 の年齢階級別人口に、①で得られた各階級の死亡率を乗じ、
③②を全年齢階級で足し合わせて、
④基準とする人口の合計で割った値。


①まず年齢階級別にA地域の死亡率を求めましょう。
  0~39歳  400/200,000=0.2
  40~65歳 600/300,000=0.2
  65歳以上 1,500/500,000=0.3

②次にこの死亡率を基準集団の年齢別人口にかけると基準集団の死亡数がでます。
  0~39歳  40,000,000×0.2=80,000人
  40~65歳 40,000,000×0.2=80,000人
  65歳以上  20,000,000×0.3=60,000人
 
③全階級の合計が220,000人となります。

これで基準集団の死亡数が出ました。ただ、これは基準集団の合計が1億人に対しての死亡数ですので、問題文にあるように10万人に対しての死亡数に直さなければなりません。

④つまり1億人で22万人 は
  1000万人で2万2000人
  100万人で2,200人
  10万人で220人
  計算式にすると、220,000÷1,000=220人

となります。

ここまでで引っ掛かるのは、表に出て来るカッコ書きの単位の人数ではないでしょうか。

(千人)であれば、そこを示す欄の数値の右に0を3つ足せと言う意味です。(10万人)なら0を5つです。

1の横に0を何個足せばカッコの数字になるか考えると簡単ですよ。

この問題では、この単位を間違うと答えにたどり着きませんので気をつけて解いてみましょう。

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by inufukuken | 2013-06-27 21:56 | 社会と健康(21) | Comments(2)

オッズ比の覚え方(疫学研究についてⅤ)

以前疫学研究を紹介した時に説明に断念したオッズ比を紹介します。

ただ、これだけ見てもピンとこないかもしれませんので、前回を復習してみましょう。

①症例対照研究
「肺がん患者群(症例群という)と健康者群(対照群という)を同じ数集め、過去にどの程度喫煙していたかを調べる。結果、症例群の方が喫煙者が多ければ喫煙が肺がんの原因であると推論できる。」という研究。後ろ向き研究とか、患者対照研究またはケースコントロール研究ともいう。


②コホート研究
「喫煙者群(曝露群)と健康者群(非曝露群)を同じ数集め、両群を数年追跡し、その肺がん罹患率を比較する。結果、曝露群の方が肺がん罹患率が高ければ、喫煙が肺がんの原因であると推論できる。」という研究。前向き研究ともいう。

ここでのポイント、①の症例対照群は読んで字のごとく症例(肺がん)を持った人を対象にします。逆に、②のコホート研究は、症例を持った人は使わず、喫煙をしている人(曝露群)を対象とします。「曝露」とは、ここでは喫煙してその害にさらされること。つまりタバコです。原発の被曝も同じことで、放射能に曝露されているのです。
わたしの中では曝露=タバコで覚えています。この方がとっさの時に思い出しやすいです。
寄与危険・相対危険いずれも罹患率、つまり「肺がんになってしまった率」を群別に把握しその差(寄与危険)と比(相対危険)を計算したものです。


寄与危険(罹患率の差)は、その差が「たばこのせいで肺がんになった分」であって、逆に言うとその差が「たばこを吸わなければ肺がんにならなかった分」となります。数字を入れて例えるなら、喫煙群の肺がん発生率が50%、非喫煙群の肺がん発生率が10%だとすると、「50-10=40%」つまり、寄与危険度は40%となります。


相対危険(罹患率の比)は、その比といいましたが、たばこを吸うことによって何倍肺がんになったかを数字で表したものです。計算式はありますが、あえて覚えなくても言葉の意味を理解していれば、おのずと分かると思います。一応、寄与危険度と同じように計算すると「50÷10=5倍」つまり、相対危険度は5倍となります。喫煙すると、そうでない人に比べ5倍肺がんにかかりやすいということですね。


以上から、寄与危険度は40パーセント、相対危険度は5倍となります。読んで字のごとくこの2つの単位は違いますので求めている意味もおのずと違うものだというのは分かると思います。


このようなコホート研究(前向き研究)で得られる寄与危険度や、相対危険度は、症例対照研究(ケースコントロール研究、後向き研究)ではもとめられません。なぜなら、罹患率を調べられないからです。(ここが理解できないと次に進めないので、前に戻って読み返してください。)

ここが理解できないとオッズ比は理解できないかと思います。

症例対照研究は、ある病気(肺ガン)にかかった人が、そうでない人に比べてどれだけ曝露(タバコを吸っていたか)されていたかを調べています。過去にさかのぼって調べられるのは「どれくらい病気になったか」ではなく、「どれだけ曝露されていたか」です。曝露とはここではタバコを吸っていたことです。

言うまでもなく、症例群ではその割合は高く、対照群では低くなります。その比がオッズ比です。

相対危険は「罹患率の比」であったのに対して、オッズ比は「曝露率の比」であると言えます。

ここまで来て、言うのもなんですがオッズ比なんて試験ではほとんどでません。ただ、疫学の勉強をしていると必ずといっていいほどつまずきます。それをほっとける人は無視して進んだほうが勉強の効率はいいです。しかし、私もなんですがそういう所が気になってしまい調べるのに時間を費やしてしまうことがあります。そんなときにこのサイトを見ていただければ理解の一助になれるかもしれません。

是非あきらめないで理解してくださいね。


この記事を投稿するのに参考にさせてもらったのは、
アトムスから出版されている 浅井隆先生の
「いまさら誰にも聞けない医学統計の基礎のキソ 第2巻 結果の解釈ができるようになろう! (Dr.あさいのこっそりマスターシリーズ) 」
です。ある程度統計の勉強をしている人ならなるほどと思える一冊です。最初は難しかったですが、何回も読んでると理解できるようになりました。興味のある方は是非読んでみてください。
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by inufukuken | 2013-06-20 22:39 | 社会と健康(21) | Comments(1)